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chapter2

LastGuardianIIStarting Stars

chapter2「New enemy」

石原の口から出た言葉。
"ラストガーディアン"そして本名"レドナ"。

レドナ「な、何でそれを・・・・」
石原「なんでって、俺も一応ラストガーディアンだからな」

まだ声が震えるレドナと打って変わって、陽気な声で石原は答えた。

ヴァルニス「本名ヴァルニス・イーツォ、エクステンドのラストガーディアン。
     これが俺の本職だ」
レドナ「何故俺にそのことを?」

状況がだいたい把握できたレドナは、冷静にヴァルニスにたずねた。

ヴァルニス「あぁ、それが、今日から神下市にアスティックゾーンが配置されることになった」
レドナ「AZを神下市に配置!?」

アスティックゾーン、通称AZ。
レドナ達の居る世界、アナライズワールドへ行く唯一の方法。
何処に配置するかは、エクステンドの最高評議会が下すらしい。

ヴァルニス「どうやら、お前の『イクトゥー、ヒュルイエ事件』の功績からだそうだ。
      ま、当然のことだな」
レドナ「ってことは、ステーションも、もうあるってことか?」

ステーション。
アナライズワールドにある、エクステンドの基地だ。
基地と言っても、大きなものではない。
だが、現実世界でいうと、学校の3倍ほどはあるらしい。
1つのAZに1個ずつ、配備される。
簡単に言うと、そのテリトリー付近の小隊基地のようなものだ。

ヴァルニス「あぁ、ここは第44エクステンドステーションの配下となるな。
      にしても、44とは不吉なものだ」
レドナ「そんな数字のジンクスにとらわれんなよ、ラストガーディアンなんだし」

正直、番号だけで不吉だとかどうとかはバカっぽいと思うのがレドナの本心だ。
真理的な問題は、嫌いな性質だ。

レドナ「んで、放課後にでも顔出しとけって事か?」

それそうになった話題を、戻した。

ヴァルニス「そうしてもらえると助かる。
      俺は仮職がちょっと忙しくてな」

ヴァルニスが苦笑を浮かべる。

レドナ「仮職と本職を連立させるのが辛いってのは俺も痛感してる。
    お互い頑張ろうな、ヴァルニス」
ヴァルニス「あぁ、よろしくな、レドナ」

2人は固い握手を交わした。
その後、レドナは5時限目のチャイム3秒前に教室に着いた。


その日の授業も終り、部活動生は、それぞれの部活へ。
帰宅部は、家路を歩もうとしていた。
もちろん、レドナ達は後者である。

校門付近で、5人は落ち合い、一緒に下校した。

真「そういや、今日の呼び出しってなんだったんだ?」
レドナ「別にたいしたことじゃねぇーよ。
    ただ、あんまり暴れんなってさ」
真「ぶっちゃけ、アレは暴れるより虐殺に近いけどな・・・」

苦笑して真が言う。

はやて「それにしても、暁君はなんであんなに強いん?」
レドナ「死んだ親父が格闘家だったんだ。
    それで、休みの日とかは稽古してたから・・・」

レドナの強さの訳を知っている3人は、素直に隠蔽発言に感心した。
ここで"ガーディアンだから"なんて言ったら、どうなるだろうか。

香澄「まぁ、私達も心強いボディーガードが居たら安心だよね」

笑顔で香澄が言う。
実際、本当にレドナはボディーガードに近い存在なのだが――。

それからすこし歩くと、いつもの解散地点に来た。

香澄「じゃ、また明日~」
フィーノ「さようなら~」
はやて「ほな、またな~」

女子3人は、手を振り合って、平和に別れる。
一方の男子は壮絶なものだった。
といっても、原因は真であることに変わりはない。

真「暁・・・はやてちゃんを食べたら――うぐぁっ!!」
レドナ「高田君、また明日ね」

作り笑いを浮かべ、優しくレドナは言った。
真の左足に、レドナの右足が堂々と乗っかっていた。

真「は、はい!!ま、また明日お会いしましょう暁様!!」

ようやくレドナの踏みつけから、真の足は開放された。

真と香澄と別れて、3人となった。

レドナ「そういや、はやてはどこら辺に住んでるんだ?」
はやて「ウチは家の方は心咲区の東の方。
    ただ、ほとんど病院に居るほうが多いけど」
フィーノ「お母様やお父様はご心配されてるでしょうね・・・」

残念そうに、フィーノが言った。

はやて「ううん、どっちも小さい頃に無くしてもうたから・・・。
    今は遠い親戚が3人来てるんよ」

少し、はやての顔がくぐもった。

フィーノ「ぁ、ご、ごめんなさい・・・・」
はやて「ええんよ、今は気にしてないし」

今度は、さっきと打って変わって笑顔で慰めた。
本当の意味で、彼女は精神的に強いのかもしれない。

それから数分して、神月家へと到着した。

はやて「今日は送ってくれて、ほんまおおきにな」
フィーノ「いえいえ、困った事があれば、いつでも言ってくださいね!」
レドナ「じゃ、また明日な」
はやて「うん、また明日~」

軽く手を振り、はやては自宅へと入って行った。
神月家から、少しはなれて、レドナはフィーノにヴァルニスの事を話した。
もちろん、AZのことも含む。

フィーノ「石原先生が、ラストガーディアンだったんですね。
     全然気づきませんでした」
レドナ「俺も正直驚いたよ・・・。
    あ、それで今からAZでステーションに顔だそうかと思ってるんだけど」
フィーノ「う~ん、今からですかぁ・・・。
     ちょっとお母様におつかい頼まれてるんですよ。
     どうやら、夕食が何にもないとかで」

深刻な食材問題で、フィーノが困った顔をする。

レドナ「そっか、まぁ俺らが食う飯だし、食材確保は頼んだ。
    フィーノの事は俺から伝えとく・・・って言っても、向こうは知ってるだろうけど」

苦笑して、食材確保の選択肢を選ばせた。

神下市のアスティックゾーンは意外にも、神下大橋の下にあった。
そのため、レドナは再び帰宅道を逆戻りして、登校道を歩いた。
PM5:30
この時間になると、さすがに辺りも暗くなってきた。
急いでAZに向かおうとするレドナの背後に、殺気が走った。

レドナ「・・・・!?」

急いで振り返る。
しかし、何も居ない。
気のせいかと思い、前を見た瞬間、その殺気の持ち主がそこに居た。
だが、それは人ではない。
白い2速歩行の蟹のような"怪物"だった。
目は、頭部と思わしきところに大きく赤く1つだけ輝いていた。

レドナ「な、あ、新手!?」
???「グハァァ・・・・」

その怪物が、息を吐き出す。
敵対心大有りのようだった。

レドナ「ちっ、戦闘区域展開!」

そう舌打ちして、レドナは叫んだ。
すると、2人の距離の間から、魔法陣が発生し、攻撃型魔法陣が展開された。
そう、神下市には、マプティラズディも配備されたのだ。
自動的に魔力を感知して、戦闘区域を生み出すそれが、機能を発揮したのだ。

???「グゥ・・・?」
レドナ「来い!クァルファーレ!」

叫ぶと共に、神下高校の制服が光となってはじけた。
そして、"クァルファーレの黒衣"がレドナの身に着く。
漆黒の長いズボン、所々に幾恵にも赤いベルトが巻きついてる。
上半身の漆黒の長袖も、赤いベルトが幾恵にも巻きついている。
両肩には赤い凶暴さをイメージさせるプロテクター。
腰には、防御用の長いスカート状のものが左右についている。

次に、レドナは両手を広げ、愛剣を具現化させた。
漆黒の刃を持つグリュンヒル零式。
白銀の砲撃可能のガルティオン。
その2本を、構えた。

レドナ「さっさと消えやがれ!!」

思いっきり2本の大剣を振り上げ、怪物目掛けて振り下ろす。
その斬撃は、見事に怪物に当たった。
しかし、怪物の目は未だに赤く輝いてレドナを恐ろしいまでに凝視している。
状況を理解するのに、少し戸惑った。
2本の大剣は、怪物の白い肉を切り裂くことができていなかった。

レドナ「ま、マジかよ!?」
???「グオォォォ!!」

怪物の右手がレドナを殴り飛ばす。

レドナ「ぐあぁぁっ!!」

近くの家のブロック塀に激突する。
その所為で、痛みが倍増する。

レドナ「ガルティオン!!」

痛みをこらえ、左手でガルティオンを構える。
先端の砲門が開き、魔力ビームが放射される。
しかし、それも敵の肉体に弾かれた。

レドナ(攻撃が全く通じない・・・!?)

そう考えている間にも、怪物はレドナの目の前まできた。

レドナ(くそっ、賭けるしかねぇ・・・)

レドナは、2本の武器を戻した。
空いた右手で、怪物の目に思いっきり殺すつもりでストレートを入れる。
ガツンと音が鳴り響く。
自分の右手も痛かったが、怪物も2、3歩ひるんだ。

その間レドナは次の行動に移っていた。
両手を広げ、目を閉じる。
レドナの両手に魔力が集まる。
そして、レドナは目を開けた。

レドナ「喰らえっ!!レムリア・クラッシャァァッ!!!」

レドナが編み出した、新たなるレムリアを駆使した技。
レムリア・クラッシャー。
以前のレムリア・スラッシャーをレベルアップさせ、両手で行う攻撃だ。

両手を前で組み、突き出し、怪物の白い装甲に叩きつける。
すると、さっきの行為が嘘のように、怪物の肉体は抉れていった。
完全に、クラッシャーを放ち終わった後、上半身が焼け焦げた怪物は、地面に倒れ消滅した。

レドナ「レムリアなら貫通するってわけか・・・?」

レムリア・クラッシャーを放った両手を見つめて、レドナが呟く。

???「グゥゥ・・・・」
レドナ「!?」

振り向くと、さっきと同じ怪物が5体も居た。

レドナ「レムリアの連続使用はできないってのに!」

???「グォォォ・・・・」

またレドナの後方で、低い唸り声が上がった。
後方にも、5体の怪物。
計10体の怪物に、レドナは囲まれていた。

その1体が、レドナに向かって飛び掛ってきた。
危ないと思って、両手を組んで防御行動を取ったとき――。

銃声と共に、その怪物の中心部に、弾丸が打ち込まれた。
その銃声の方向を向く。

ヴァルニス「大丈夫か、レドナ!?」
レドナ「ヴぁ、ヴァルニス!!」

そこには、ヴァルニスの姿があった。
その手には、銃と剣が一体化した銃剣が握られている。
さっきの攻撃もこれで行ったのだろう。
気づくと、ヴァルニスもグレーのリーンジャケットを着ていた。
そこで、ヴァルニスもラストガーディアンであることを思い出した。

高く飛んで、ヴァルニスは、レドナの真横に着地した。

レドナ「その銃剣、こいつ等に効くのか?」

早速レドナが質問する。

ヴァルニス「まぁな、安心しろ、レドナの分もある」
レドナ「!?」

ヴァルニスが、左手を開いた。
すると、蒼白い光が溢れ、その光が大剣の形となる。
そして、グリュンヒルに酷似した漆黒の剣が具現化された。

ヴァルニス「やつら、ガブリエルに対抗するための唯一の武器、"エクツァーンモデル"。
      この第二世代エクツァーンモデル"グリュンヒルEX"はお前のだ」
レドナ「グリュンヒル・・・EX・・・」

名前を覚えこむように、レドナは呟いた。
そして、その大剣を手に取る。
あまりの重さで、片手で操るのは難しかった。

ヴァルニス「そして、これがカートリッジ、"レムリアブレッド"だ。
      こいつを武器に差し込んで、ロードして後は思いっきり暴れろ!」

そう言って、金色の銃のカートリッジらしきものを貰った。
それだけ言い残すと、ヴァルニスは自慢の銃剣を構え、4体の"ガブリエル"と呼ばれた怪物へ向かっていった。

レドナ「とにかく、今はなるようになるだ!!」

そう言って、グリュンヒルEXを構えた。
左手で、さっきのレムリアブレッドを、グリュンヒルEXの柄についている穴にはめ込む。
ガシンと機械音を断て、ブレッドと武器が一体化する。
新たなる力、グリュンヒルEXを振り上げ、向かってきたガブリエルを叩ききろうとする。
その間に、武器の内部で、ガシャンと音が鳴る。
すると、透明だったグリュンヒルの刃が淡い緑色に染まる。
排気ダクトから煙が噴出し、空になった金色の弾丸も射出される。

その状態で切ったガブリエルの左腕は、みごとに胴体から分離した。
さっきとは打って変わって、嘘ではないかと思うほど爽快に切ることができた。

この、第二次エクツァーンモデルといわれたグリュンヒルEXの効力は不明だった。
しかし、さっきの戦闘で分かるとおり、武器がレムリアを纏った。
それが理解できただけで、今は十分だった。

そのレドナの目は、すでに次の敵を捉えていた。
こっちに走ってくるガブリエルが2体。
その場に留まり、レドナはグリュンヒルEXを構える。
弾丸が1つ射出される。
消えかけていた、刃の緑色が完全に回復する。
そのまま、大胆に横に大きく振りかぶる。
ガブリエルの天敵と化したグリュンヒルEXは、2体の胴体を真っ二つに引き裂いた。
すぐに、切り裂かれたガブリエルは消滅した。

レドナ「こいつで終りだぁっ!!」

奥に居る、最後の2体目掛けて突っ走る。
そのまま、グリュンヒルEXを振り上げる。
弾丸を2発ロードする。
再びグリュンヒルEXの刃が淡い緑色に輝く。
その状態で、前方の空間を閃光を描きながら十字型に斬る。
すると、その閃光は、結晶化しだす。
そして、十字のエネルギー体は、2体のガブリエルの間を貫いた。
すぐさま2体のガブリエルは体が半分抉られ、消滅していった。

自動的に自分に任された敵を排除したレドナは、ヴァルニスの方を見た。
向こうも、丁度最後の1体にトドメを刺し終えたところだった。

ヴァルニス「さすがレドナだな。
      もう要領を覚えたか」
レドナ「車の運転よりか簡単だな」

感心するヴァルニスに、冗談でレドナは答えた。
そして、新たな力となったグリュンヒルEXを、戻した。

レドナ「・・・で、今のはガブリエルって言ったっけ?」
ヴァルニス「あぁ、そのことについても話しておく必要があったな。
      しかしもうここまで来たんだ、どうせならステーションに行って、向こうで聞いたほうがいいだろう」
レドナ「りょ~かい。
    マプティラズディ、解除するぜ」

ヴァルニスが頷くのを確認すると、マプティラズディに解除命令を出した。
その間に、2人のリーンジャケットも光となってはじけ、元の服装へと変わる。
すぐに魔法陣は消滅し、元の世界と時間がリンクする。

レドナ「ヴァルニスも、ステーション行くのか?」
ヴァルニス「いや、俺はまた学校に戻る。
      お前にアレを渡すのを忘れてたからなぁ・・・」

そういって、苦笑した。

レドナ「そっか、わざわざサンキューな。
    助かったぜ」
ヴァルニス「おう!また明日学校でな」

それから、レドナが神下大橋真下に着いたのは数分後の事だった。
橋と神下市の根元の真下のコンクリートの壁。
ひんやりとした壁に手をかざす。
瞬時、白い魔法陣が展開する。
それは、一瞬でレドナを飲み込み、レドナの存在を一時的に別の世界へと移した。

ワープ、という言葉が一番合っているかもしれない。
手をかざしてから1秒弱、レドナは別世界に存在を置いた。
"アナライズワールド"それが、この世界の名称だった。
AWの中でも、レドナがワープした先はエクステンドステーション側のAZだった。
鋼鉄の部屋で、いかにも軍事基地という言葉が連想できた。

レドナ「こっちに来るのは久しぶりだな・・・」

呟きながら、レドナは司令室へと急いだ。
司令室へと続く道も鋼鉄でできており、四隅から光が照らしていた。
歩くたびに、コツコツと足音が鳴る。
歩いてすぐにあった部屋は、更衣室だった。
何でこんなところにあるんだろうという疑問を抱きつつも、レドナは先を急いだ。
2分後、目的の部屋へと到着した。

堂々とした鋼鉄の3mの扉がずっしりと存在を確立していた。
その扉の横に、カードを通すところがあった。
たぶん、ここにカードを通せば、扉が開く仕組みだろうと思いつつ、カードが無いことを知った。

レドナ「・・・って、ノックしても出てこねーだろうな・・・・」

一気に脱力し、扉の反対側の壁にもたれかかった。

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